前科や前歴は就職や私生活に影響する?ネット記事は削除したほうが良い?

前科・前歴がついてしまった場合に、あなたや家族の今後の生活や人生にどのような影響を及ぼしてくるのでしょうか。

会社員であれば会社を解雇されたりしないか、恋人と結婚をするときに障害になりはしないか、友人にバレて疎遠になってしまったりしないか、子供の環境にマイナスの影響を与えはしないか……。

もしも前科・前歴がついてしまったことが、報道以外のところで、ネット上に投稿掲載されていたりしたら、そのネット記事をどう扱えばいいのか……?

今回は、前科・前歴について詳しく知り、ネット上で自分のネガティブ情報が広がっていった場合の対策を考えてみましょう。

前科と前歴の違いは?

たとえばあなたが、何かの事件に関与してしまい、それが法に触れるものであった場合……警察に逮捕され、裁判で有罪になるという可能性はゼロではありません。もしも有罪になってしまったら、いわゆる「前科」というものがつきます。

「前科」というのは、逮捕後に起訴されて裁判になり、そこで有罪判決を受けた事実に対して付く判決歴になります。

ここで「おや?」と思う方もいるでしょう。報道などでよく使われる言葉に「前科」だけでなく「前歴」というものもあります。同じように使われる言葉ですが、いったいどこが違うのでしょうか。

実は、逮捕・起訴に際して裁判にかけられた場合(有罪判決になった場合)の「前科」に対して、「前歴」は逮捕されたものの起訴されることなく、裁判にかけられず釈放された場合の歴を指します。

つまり、被疑者として捜査対象になり、その後無罪放免になったとしても、刑事事件によって逮捕されたという事実があれば「前歴」はついてしまうことになります。

気になるのが、こうした前科・前歴がついてしまった場合に、就職や私生活に影響を及ぼしてくるのかということでしょう。

自分の前科に気づかない?

まずは、前科・前歴がどのようについていくか、逮捕から裁判までの流れを見てみましょう。

もしもあなたが逮捕されてしまうと、裁判所へ起訴するかどうかの判断は警察ではなく検察官が検討し判断していきます。検察官が「この人は起訴しなくてもよい」と判断したら、不起訴処分となります。

不起訴となる理由はおおまかに3つあります。

  • そもそも犯行に関わっている可能性がないとわかったとき(嫌疑なし)
  • 犯行を立証する証拠が少なかったとき(嫌疑不十分)
  • 犯行の事実はあるが罪が軽かったり、被疑者が深く反省しているとき(起訴猶予)

このように不起訴となったら、前科がつくことはありませんが逮捕されたという事実は残ってしまいますので、前歴は免れません。なお、これらの3つのうち、起訴猶予は実に全体の90%を占めています。

また、意外に自分の前科に気づいていないという人も少なからずいます。どういうことでしょうか?

「前科」が有罪判決を受けた人につくというのは先に説明した通りですが、これは罪の軽重を問いません。懲役や禁錮といった実刑を受けた人を「前科者」と想像しやすいのですが、罰金刑や科料といった身柄を拘束されない場合でも「前科」がついていることに変わりはありません。

つまり、車でスピード違反をしてしまったり、お酒に酔うなどしてちょっとした器物破損をした場合でも、罰金刑を受けてしまったら前科がついてしまいます。そこを軽く考えてしまい、「えっ、自分も前科がついているの?」と、自分の前科に気づいていないということもままあるのです。

ちなみに、罰金刑は実際に法廷で公判を行わず、書類のみで簡略起訴することもあり、余計に「起訴された」という意識が希薄になりがちになります。

前科・前歴の就職への影響は?

では、前科・前歴がついていることで、日々の生活や人生にどのような影響が出るのか、どんな支障や障害を伴うことになるのかを見ていきましょう。

まず、前科・前歴を持っている人が、企業に就職する場合はどうでしょうか。これは、企業側の確認スタンスによります。企業としては前科・前歴を確認するには、本人からの申告がなければ知る方法はありません。

したがって、前科・前歴を本人に確認する企業もあれば、しない企業もあるというのが実情です。確認しない企業であれば、別段、就職に悪影響がでることはありません。自ら履歴書などに前科・前歴を記載する必要も義務もありません。

しかし確認してくる企業に対しては、確認の必要性を十分に説明してもらったうえで、前科・前歴を伝えておいたほうがいいでしょう。少なからず採用に影響はあるかもしれませんが、嘘をついてしまうほうが後々悪い結果を招きかねません。もしも前科・前歴の提示を求められ、それを隠したりしてしまうと経歴詐称となるのです。

重大な事件などによる前科・前歴でない限りよほどの悪影響を受けることはないとされていますが、詐称したことで会社の採用や人事考課に支障が出た場合、正規の解雇理由になりえてしまいます。

またネット上で前科・前歴について投稿されているなど、情報が出てしまっている場合、詐称したとしてもバレてしまう可能性は十二分にあります。そうなる前に、ネット記事を削除しておくという選択肢もあります。それが時間的にできない場合は、打ち明けて不採用になってしまうリスクと、後に発覚した場合の解雇などのリスクをしっかりと考えて対応をしたほうがいいでしょう。

企業側が前科・前歴について尋ねるときは、履歴書の学歴・職歴欄に空白期間がある場合が多いようです。空白期間が1年以内の場合は、無職でいたり、就職活動中だったなどという理由がまかり通りますが、1年以上になる場合は禁固刑に服していたりすることを疑うこともあります。

実に前科の疑いがかかった人の内、8割もの人が経歴詐称をしているというのが現実で、企業側もここを気にしているのです。

職場解雇による裁判の事例

たとえば、前科が発覚して解雇されたというケースで、昭和56年4月14日に最高裁で判決が出た、自動車教習所の解雇事件があります。あらましは、次の通りです。

京都の自動車学校で、技能指導員(自動車学校の教官)が解雇になりました。そこで、その人物が教習所に対して解雇は無効であるという、地位保全の仮処分申請を裁判所に行いました。

教習所側としては、弁護士法23条に基づいて弁護士を通じて「中央労働委員会、裁判所に提出する」という目的のもと市内の区役所に対し、前科、犯罪歴について照会をかけていました。その折、前科・前歴ありだとわかったのです。

このことを知った教習所は経歴詐称を理由に解雇を通告。しかし解雇された側は、名誉、信用、プライバシーを棄損された(前科や犯罪を知られたくない権利を侵害された)と争いになったのです。同時に、裁判にかかる労力や費用を必要とすることになり、前科・前歴を公開した区長の過失を責め、京都市に対して損害賠償を求めることになりました。

第一審・第二審と続いたこの裁判も、結論としては、区長の公開行為の違法性が認められることになりました。一般的には、法律による根拠のある場合や、公共福祉の観点から要請された内容が、個人のプライバシー権利より優先されることもありますが、この事件では元技能指導員の一部請求が認められたのです。

履歴書をどう書く?

履歴書に空白期間があると、その期間のことを企業が確認する可能性は否めません。

「その前に、正直に話していたほうがいいのではないか?」と思われるかもしれません。それは、リスクこそありますが、間違った考えではありません。

履歴書によっては、学歴、職歴などの基本的な情報のほかに「賞罰」を書く欄があるものもあります。この形式の履歴書を使用する必要がある場合(もしくは指定された場合)は、もしも前科があるのであれば、この賞罰欄に記入しないといけないということになります。ただし、この場合、あくまで対象は前科であり、前歴の場合は記入をする必要はありません。

もっとも近年では、賞罰記入欄がある履歴書のほうが少ないので、特に企業から履歴書のフォーマットの指定を受けないときは、賞罰記入欄のない履歴書を使用し、自ら書き入れることはありません。聞かれたら答えるというスタンスでよいでしょう。

前科・前歴があると不利になる職業は?

さて、就職時の前科・前歴のほか、気になるのが「前科・前歴があると就ける職業と就けない職業が分かれるのではないか?」という不安です。これは、残念ながら分かれます。ではどのような職業への就職が不利になるのでしょうか?

1)弁護士、弁理士、教員

弁護士、弁理士、教員を志望している場合、禁錮以上の前科者は欠格事由となってしまいます。欠格事由とは、その仕事に就く際に求められる資格を所有していない(欠いている)ことをいいます。そのため、一定期間、弁護士、弁理士、教員試験を受ける権利がはく奪されます。既に資格を有している禁錮以上の前科者は国家資格そのものをはく奪され、この先同じ職業には付けなくなるという厳しい取り決めがなされています。

2)国家資格を必要とする職業

国家資格の種類にもよりますが、禁錮以上の前科者は欠格事由とされることは多くあります。やはり一定期間の就業権利はく奪はまぬがれません。数年後に欠格事由が解除される場合もあれば、されない場合もあります。

3)金融業界

金融業界は、特に厳しく身元調査を行うことがありますので、特に前科があるとかなり不利になると言われています。

4)警備員

警備業法という法律にのっとって、禁錮以上の前科がある場合は、刑の終了から5年間警備員の仕事につくことができないという取り決めがあります。

子供の環境は不利にならない?

子供の環境は不利にならない?

もしもあなたに前科・前歴がある場合、自身の子供への影響を考えないわけにはいかないでしょう。

自分が過去にやってきたことが、子供に累が及ぶ「親の因果が子に報う」ということわざがありますが、そうなることを危惧する気持ちはよくわかります。

では、子育てへの影響を見ていきましょう。まずは子供が通う学校で、親の前科・前歴が発覚することがあるかどうか。これは、教育機関の調べで発覚するようなことはないと考えていいでしょう。

よほど身元調査をする伝統校やブランド校であれば、親の身辺を問いただされることはあるかもしれませんが、一般的な教育機関であれば、子供の就学環境に親の前科・前歴が関係することはありません。

気を付けたいのは、親の間での口コミネットワーク。ネット上であなたの前科・前歴情報が掲載されている場合は、誰がどこで調べて突きとめてくるかわかりません。やはり早めに削除をしておくほうが無難でしょう。

子供の就学については問題ありませんが、子供がいざ就職しようとした場合は注意が必要です。先ほど出てきた金融機関は特に子供の身元調査内に親や親族の素行まで含まれるため、親が前科者であった場合は不採用の理由になりえてしまうのです。同時に、警察への就職も独自の前科・前歴データベースを所有していますので、不利になってしまうことが考えられます。

もっとも、よほどの調査力を有していない限り、一般的な企業は親の前科・前歴までは調べきれません。あまりに心配し過ぎるのも考え物です。

恋人や友達にバレたくない

前科・前歴がついていることがわかると、当然ながら周囲には隠したいという心理が働くもの。もちろん自ら吹聴することで得られるメリットのほうが少ないので、不必要なことを話して広げる必要はありませんが、「どこかでバレたらどうしよう?」と不安になるものです。

特に、結婚を前提に真剣なお付き合いをしている恋人がいるときなど、過去のことがバレて交際が終わってしまったり、婚約破棄などということになれば、精神的打撃も決して小さくはないものです。

実際、恋人や友達に、前科・前歴はバレるものなのでしょうか?

通常、特に波風を立てない普通の暮らしをしていれば、まずバレる心配はありません。ただし、結婚を前提にしている場合は、すべて打ち明けたほうがいいという意見もあります。罪の大きさにもよりますが、結婚となると相手の人生にも影響を与えてしまう人生の重要な出来事です。

先に述べた、子供の将来の影響なども考慮し、相手側の両親が反対することもありえます。しかし誠意をもって話していけば、結果的にサポートしてくれるようになるかもしれません。黙っておいて、結婚後に発覚し、関係が悪くなることを考えれば、別れのリスクはともなうものの前もって伝えておく方が安心かもしれません。

なお、結婚後、重大犯罪の前科者であることが発覚した場合、実は相手方にとって正当な離婚理由のひとつにされることがあります。民法で、殺人や強盗などの前科がある場合、これを黙っていたことで夫婦の信頼関係に著しい傷がついた場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」と見なされます。

もっとも一般論としてですが、この離婚事由は、前歴程度のことでは正当な理由として認められません。また前科にしても、罪の軽重(スピード違反など)によって正統理由に扱われないこともあります。

ちなみに、友人関係においても、まずバレることはありませんが、ゴシップ好きの友人の目に触れたりしないよう、不必要なネット情報は削除したほうが賢明です。残しておいて得なことは何一つないでしょう。

前科・前歴でお金に困る?

次は、前科・前歴をとりまく、お金のことについて調べてみましょう。

生活していく中で、お金について不安になるといえばローンのことが挙げられます。マイカーローン、住宅ローンなど、前科・前歴がある場合に利用は可能なのでしょうか?

基本的には、こちらから前科・前歴を申告しない限り(余計なことを言わない限り)、まず問題はありません。前科・前歴と支払い能力に関わりはないうえ、ローンの審査の際に参照する個人信用情報機関に前科・前歴の情報は載っていないからです。

しかし、ひとつだけ注意点があります。それは、ローンの支払期間の最中に服役してしまうときです。服役をしているときは、当然ながらローンの支払いはできません。したがって信用情報に傷がつき、ブラックリストに入ってしまうことになります。

また、前科・前歴によって就職に困難が生じてしまうため収入が低くなってしまうと、支払い能力低下にともなってカードローンの審査なども通らなくなってしまうという間接的な影響は受けることがあります。

ただし、こうした「お金に困る」という状況になってしまうと、生活保護など、国からの保護が必要になってくることもあるでしょう。そこでは前科・前歴一切関係なく保護を受けることができます。国民は法の下に平等であり、前科・前歴で差別されてはいけないということになっているからです。

ちなみに、国内から海外へ渡航することも基本的には問題ありません。一部、アメリカなど入国時に犯罪経歴を書く必要がある国は、事前にビザの取得が必要になりますが、おおよそ問題ないと考えていいでしょう。

前科・前歴そのものを記録抹消できる?

ネット上での投稿などによる情報はプライバシー権利を主張することで削除要請も可能ですが、前科・前歴そのものがなくなるということはありません。

基本的に犯罪歴というものは、警察、検察、本籍地の市区町村という3つの機関で保管されており、半永久的に記録として残るのです。ただし、これが外部に漏れるという心配はまずありません。

警察では、前科・前歴ともに独自のデータベースに保存されるようになっています。当該の人物が死亡すれば記録は消去されます。これは、再犯を防止する目的や、事件が発生した際の捜査のために利用される情報です。

次に検察でも警察同様、独自のデータベースシステムを使用しています。警察と異なるのは、当事者が再犯を犯した場合の判決基準を明確にするため。再犯がなければ、ただの情報であり、当事者の死亡とともに抹消されます。

本籍地の市区町村では、交通違反による前科を除く罰金刑以上の情報が、名簿として残されます。これは刑罰そのものが消滅したら(罰金を支払う、服役を終えるなど)名前も削除されていきます。

「その情報は自分で閲覧することはできないだろうか?」と思う方もいるでしょうが、それはできません。本人の申告でも開示される情報ではないのです。

では前科・前歴がどこで露見し、インターネット上で広まってしまうのか。これは犯罪を犯したときに実名報道がなされた場合です。インターネットで名前を検索すれば、実名報道のあった事件についてはほぼ検索することができるでしょう。

ネット上の情報にどう対処・記事削除する?

インターネット上の前科・前歴情報は、すでに述べてきたとおり、あなたにとって不利益をもたらしかねないものです。バレなければいいという話でもありますが、どこでだれの目につくかがわからないのがネット情報なのです。

たった一度でも前科・前歴の事実が知られてしまえば、人間関係などにおいても非常に大変な思いをすることになります。また、ありもしない話がうわさになって持ちあがってきたりと、偏見から生まれるガセ情報に苦労することもあるようです。

前科・前歴そのものは消せませんが、削除できるものは削除していく対策や努力をした方がいいでしょう。

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