闇金の嫌がらせの実態とは?いつまで続くのか、嫌がらせへの対処法を解説

闇金の嫌がらせの実態とは?いつまで続くのか、嫌がらせへの対処法を解説
グリフィン法務事務所

この記事の監修
グリフィン法務事務所 司法書士 今井 亨

東京司法書⼠会:7970/代理権認定番号:712017
闇金問題の被害者救済の専門家として活動する司法書士です。闇金トラブルの取扱い件数は国内トップクラスの実績があります。適切かつ迅速にサポートすることをモットーにしています。

東京司法書⼠会:7970/代理権認定番号:712017
闇金問題の被害者救済の専門家として活動する司法書士です。闇金トラブルの取扱い件数は国内トップクラスの実績があります。適切かつ迅速にサポートすることをモットーにしています。

闇金からお金を借りると法外な利息を要求され、払えなければさまざまな嫌がらせを受けることになります。多くの人は、嫌がらせを止めたい一心で何とか金策をして闇金に返済してしまいます。

しかし、それこそが闇金業者の思うツボです。闇金の言いなりのままに利息を支払ってしまうと、元金の何百倍、何千倍ものお金を搾り取られてしまいます。

この記事では、闇金が行う嫌がらせの実態や手口、いつまで続くのか、正しい対処法などについて解説していきます。

闇金による嫌がらせの主な手口

まずは、実際に行われている闇金による嫌がらせの主な手口をご紹介します。

近年は闇金に対する規制が強化されていることもあり、暴力を用いてお金を巻き上げるような取り立て方法は影を潜めつつあります。

その代わりに、利用者を精神的に追い詰めるという卑劣な嫌がらせ行為が増えてきています。

脅迫的な電話を執拗にかけてくる

支払期日までに返済ができなければ、まずは闇金業者から取り立ての電話がかかってきます。今すぐには支払えないと答えると、例えば以下のような脅迫的な言葉で恫喝してきます。

  • 「借りた金を返さないのは泥棒と同じだ」
  • 「延滞が続くと身の安全は保証できない」
  • 「お前の妻や子どもがどうなってもいいのか」

利用者が電話に出なければ、執拗に電話をかけてきます。1日に100回以上かかってくる「鬼電」も珍しくありません。

利用者は精神的に追い込まれてしまい、苦痛から逃れたい一心で利息だけでも何とかして支払おうとしてしまいます。

家族・親族等に連絡される

利用者本人がなかなか支払わない場合、闇金は家族や親族にも取り立ての電話をかけてきます。身内の人にとどまらず、友人や知人などに連絡することも少なくありません。

闇金は、融資の審査をするためには「緊急連絡先」「保証人」が必要として、氏名・連絡先などを聞き出します。

そして、利用者が返済しないとなると家族などの保証人に連絡して、以下のように理不尽な理屈をつけて返済を迫ります。

  • 「(親に対して)子どもが返せない借金は親が返すのが筋だ」
  • 「(友人・知人等に対して)あなたは○○さんの連帯保証人になっている」

利用者本人は第三者に迷惑をかけたくないという思いから、真剣になって返済資金を調達しようとします。

職場に連絡される

闇金は家族・親族だけでなく、利用者の職場にも連絡をしてきます。

  • 「そちらにお勤めの○○さんが借金を滞納しているので、返済するように伝えてほしい」
  • 「社員にどんな教育をしてるんだ」
  • 「今から取り立てに行きたいのですが、○○さんはいますか」

電話に出た人に対してこのように告げて、利用者が借金をして返済していないことを職場に印象づけようとします。

このようなことが度重なると利用者は職場に居づらくなってしまいます。仕事を辞めさせられては大変なので、利用者は早期に利息だけでも支払おうとして金策に走ることになります。

ネットに個人情報を晒される

最近増えてきている嫌がらせの手口として、SNSやネット上の掲示板などで闇金が利用者の個人情報をばら撒き、誹謗中傷するというものがあります。

現在のネット社会では、ネット上に個人情報を晒されると社会生活が破壊されてしまうおそれがあります。闇金はそれを逆手に取り、「書き込みを削除してほしければ、すぐに利息だけでも支払え」といって返済を強要するのです。

また、女性に対しては融資の条件や担保代わりに裸の写真を送らせて、いざ返済が遅れると「ネットに晒すぞ」といった卑劣な脅しもよく使われます。

昼夜を問わず取り立てにやってくる

近年の闇金は直接取り立てに訪れることは少なくなっていますが、それでも利用者が近くに住んでいる場合には自宅まで取り立てにやってくることがあります。

それも昼夜を問わず、深夜や早朝にも押しかけてきて利用者の名前を大声で呼んだり、「金を返せ」などと叫んだりします。

利用者は近隣住民の手前、何とかして返済をせざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。

自宅に貼り紙をされる

闇金が自宅に押しかけても返済できない場合には、玄関や壁などに貼り紙をされることもあります。「借りた金は返せ」「ドロボウ」などと誹謗中傷する内容の言葉を書いた紙を多数、貼り付けていくのです。

この場合も利用者は近隣住民の目を気にして、法外な利息を返済してしまいます。

出前や宅配サービスが届くようになる

闇金の嫌がらせには、出前の寿司やデリバリーのピザが利用者の名前で大量に配達されることがあります。

頼んでいない場合には受け取りを拒否しても費用は発生しませんが、サービス会社を変えて相次いで出前が届くため精神的なストレスは大きくなります。

消防車・救急車を呼ばれる

消防車・救急車は呼んでもお金が掛からない、匿名を使って呼べるため、緊急車両を呼ぶ嫌がらせもよくおこないます。

自分が呼んでもいない消防車や救急が大きなサイレンを鳴らして自宅に来るようになると、思い当たるフシは闇金しか考えられないため、驚きと同時に底しれぬ恐怖を感じます。

それによって「返済するまで闇金からは逃げられない…」と考えてしまいます。

闇金が嫌がらせをする理由

闇金の嫌がらせの手口にはさまざまなものがありますが、その目的は少しでも多くのお金を支払わせることに尽きます。

以前は闇金業者が取り立ての際に利用者に暴力を振るい、力づくで手持ちのお金をむしり取っていくこともあったようです。しかし、近年ではこのような取り立てを行うとすぐに逮捕されてしまいます。

そこで、直接的な暴力ではなく嫌がらせによって利用者を精神的に追い込み、「どのような手段を用いてでも返済するしかない」と思わせる手口に切り替わっているのです。

最初は利用者本人が電話で脅されるだけですが、それでも返済できなければ第三者を巻き込んだ嫌がらせが行われ、さらに利用者を精神的に追い込みます。

言い換えれば、闇金が嫌がらせを行うのは、利用者にお金を支払わせるための戦略です。何も、腹いせで嫌がらせをしているわけではありません。

嫌がらせが闇金業者の戦略である以上、利用者も正しい戦略を用いれば嫌がらせの被害から免れることは可能です。

闇金の嫌がらせはいつまで続く?

実は、闇金業者から嫌がらせを受けて返済できなくても、いずれ嫌がらせ行為はおさまります。

どうしても返済できない利用者もいることは闇金も承知しているので、どのような嫌がらせを受けても一切返済しなければ、やがて闇金も諦めるものです。

闇金が諦めて嫌がらせを止めるまでの期間は、おおよそ1ヶ月前後です。

しかし、その間には第三者をも巻き込んだ嫌がらせ行為が繰り返されます。家族・親族への連絡によって離婚や一家離散に追い込まれたケースや、職場への連絡によって退職に追い込まれたケースも少なくありません。

そのため、闇金による取り立てや嫌がらせを単に無視するという対処法はおすすめすることができません。

闇金の嫌がらせは違法行為

闇金に嫌がらせを受けた利用者の中には、「相手が怒るのも無理はない…」「返せない自分も悪い…」などと、自責の念にかられる人がいます。しかし、このような嫌がらせは違法行為であることを理解しないといつまで経っても解決できません。

貸金業法21条に、以下の取り立ては違法行為であると明記されています。

  • 早朝・深夜の取り立て
  • 家族・職場への電話
  • 自宅・職場を訪問する
  • 貼り紙をする
  • 借金があることを第三者に明らかにする

(取立て行為の規制)
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。
【引用】:貸金業法|取り立て行為の規制

暴言や恫喝は人権侵害罪、会社への嫌がらせは営業妨害罪、借金の公表は名誉毀損罪、など闇金の嫌がらせは違法行為だらけです。そもそも闇金の貸付けは不法原因給付に該当するため、お金を借りても支払う必要はありません。

闇金の嫌がらせをすぐに止めるための対処法

闇金からの嫌がらせを止めるためには、単に無視するのではなく正しい戦略を用いることが大切です。

闇金業者に対処するための正しい戦略は以下の2つです。

警察に相談する

身の危険を感じるときや実害が生じている場合には、すぐに警察に相談しましょう。最寄りの警察署の「生活安全課」に相談してください。

闇金の嫌がらせ行為が犯罪に該当する場合には警察に対応してもらえますし、業者を逮捕してもらえることもあります。

ただし、警察には「民事不介入の原則」がありますので、単に「借金を返す・返さない」の問題にとどまる場合は警察に動いてもらうことはできません。警察に対応してもらえるのは、例えば以下のような場合です。

  • 闇金が取り立てにやってきて「殺すぞ」などと脅迫された
  • 暴力を振るわれた
  • 自宅の玄関や壁など、物を壊された
  • 既に元金の何倍もの利息を巻き上げられた

警察に動いてもらうためには証拠を提出することも重要です。闇金との取引履歴や通帳、通話を録音したデータなど、できる限りの証拠を確保して警察に持参しましょう。

司法書士・弁護士に相談する

闇金からの嫌がらせに対する最も有効な戦略は、司法書士・弁護士という法律の専門家に相談し、対応を依頼することです。

闇金も、専門家に依頼した利用者が容易にはお金を支払わないことを熟知しているので、多くの場合はすぐに嫌がらせ行為を止め、他の利用者にターゲットを移します。

中には執拗に嫌がらせ行為を続ける業者もいますが、その場合は専門家が以下の手段も駆使しつつ、闇金業者と交渉します。

  • 闇金への告訴
  • 闇金の携帯電話の利用停止
  • 闇金の銀行口座の凍結

闇金にとって専門家と戦うことはリスクが高いため、ほとんどの業者は程なくして嫌がらせを止めます。

闇金から嫌がらせを受けたときの注意点

闇金から嫌がらせを受けた場合には早急に司法書士・弁護士に相談することをおすすめしますが、以下の4点には相談前から注意することが必要です。

元金も利息も返済しないこと

闇金から借りたお金は、元金も利息も一切返済する必要はありません。

なぜなら、法定金利を著しく超える違法な金利でお金を貸し付ける行為そのものが犯罪だからです。その貸し付け契約は「公序良俗違反」として民事上も無効となります。

また、貸し付けそのものが犯罪(不法行為)である以上、元金も「不法原因給付」ということになり、闇金が返済を請求することは法律で禁止されています。

つまり、闇金に利息を返済する必要は一切なく、受け取った元金も結果として返さなくてよいのです。

少しでも返済してしまうと、闇金から「この利用者は嫌がらせをすれば支払う」と判断されてしまい、次々と嫌がらせ行為を受けることになってしまいます。

「闇金には一切返済をしない」という姿勢を貫きましょう。

口座や携帯電話の譲渡要求に応じないこと

返済に困っていると、闇金業者の方から「お前の名義の携帯電話か銀行口座を渡してくれれば、今回の借金はチャラにしてやる」と言われることがあります。しかし、この要求には絶対に応じないでください。

なぜなら、携帯電話や銀行口座の譲渡は法律で禁止されており、もし譲渡してしまうと渡した側が罪に問われることがあるからです。

闇金業者は違法な取引が警察に発覚しても足がつかないようにするために、他人名義の携帯電話や銀行口座で営業をしています。

あなた名義の携帯電話や銀行口座を譲渡することは、闇金の犯罪行為を手伝うことになるのです。

警察への相談は慎重に

先ほどもご説明しましたが、闇金問題で警察が動いてくれるのは嫌がらせ行為が犯罪に該当するときだけです。

警察が動かないようなケースで相談すると、闇金が報復として嫌がらせをエスカレートさせるおそれがあります。「警察に相談しても無駄だ」ということを分からせるために、さらに卑劣な嫌がらせをしてくる可能性があるのです。

警察に相談するにしても、できれば先に司法書士・弁護士に相談して以下のことを確認することをおすすめします。

  • 警察が動いてくれるケースかどうか
  • どのような証拠を確保すればよいか

闇金に強い司法書士・弁護士を選ぶことが重要

闇金問題で最も頼りになる相談先は司法書士・弁護士といった専門家ですが、どの専門家に相談してもよいというわけではありません。

闇金問題に対処するためには特有の専門知識やノウハウが必要なので、闇金に強い専門家を選ぶことが重要です。

一般的な専門家に相談した場合には、「元金だけは返済しなさい」などとアドバイスされ、返済するとさらに闇金から利息を要求され、いつまでたっても嫌がらせが止まらないということにもなりかねません。

専門家に相談・依頼する際には、次のような特徴を備えた司法書士・弁護士を選びましょう。

  • 闇金問題を多数取り扱った実績がある
  • 親身に対応してくれる
  • 闇金業者に警告した後のアフターフォローもしてくれる

まとめ

闇金からの嫌がらせは恐ろしいものですが、腹いせではなく戦略として行われていることがお分かりいただけたでしょうか。

嫌がらせを怖れて利息を支払うことは、闇金の戦略に乗せられて払う必要がないお金を支払っていることを意味します。

もっとも、利用者が一人で返済を拒否するだけでは第三者を巻き込んだ嫌がらせが行われ、生活そのものが破壊されてしまうおそれがあります。

闇金からの嫌がらせを受けたときは、闇金に強いグリフィン法務事務所に相談しませんか。平穏な生活を取り戻すために迅速に対応いたします。