- LINEのやりとりでお金を貸す業者は闇金である
- LINE闇金から借りると悪質な取り立てを受ける
- LINEをブロックしても取り立ては止まらない
- LINE闇金の被害に遭ったら弁護士・司法書士への依頼が有効
最近では、LINEで簡単にお金を貸してくれる「LINE闇金」と呼ばれる業者が数多く現れています。
手軽にお金を借りられるためについ利用してしまい、法外な利息を要求された上に、払えなくなると悪質な取り立てや嫌がらせなどの被害に遭う人が後を絶ちません。
LINEでお金を貸す業者は違法な闇金業者なので、絶対に利用してはいけません。
今回は、LINE闇金の手口や利用することの危険性、被害に遭ったときの対処法などをわかりやすく解説していきます。
LINE闇金とは
LINE闇金とは、LINEを使ったやりとりで融資や取り立てを行う闇金のことです。
その実態は闇金そのものですが、従来の闇金業者とは異なる特徴がいくつかあります。
LINE闇金の特徴
LINE闇金の特徴は、主に次の3点です。
- LINEでのみ連絡する
- 業者の連絡先が不明
- ソフト闇金が主流
従来の闇金業者も携帯電話やメールでのみ利用者とやりとりするものが多かったですが、LINE闇金はLINEのチャットや無料通話機能のみでやりとりをします。
業者の住所が不明であるだけでなく、電話番号やメールアドレスすら不明であることが多く、どこの誰が運営しているのかがわからないという点がLINE闇金の大きな特徴です。
また、LINE闇金の多くはソフト闇金業者であるといわれています。というより、ソフト闇金が顧客との連絡手段にLINEを使うようになり、LINE闇金が増えてきたというのが実情です。
ソフト闇金とは、暴力団のような雰囲気を漂わせず、顧客に対して優しくソフトに接する闇金業者のことです。
しかし、ソフトな対応はお金を貸すときだけであり、通常の闇金と同様に法外な利息を要求し、返済できなければ悪質な取り立てをしてくるので注意が必要です。
LINE闇金が増えた理由
LINE闇金が増えた理由として、以下のような事情が挙げられます。
- LINEが多くの人に連絡手段として定着した
- 身近なツールなので騙しやすい
- 業者にとっても手軽に連絡できるので効率よく営業できる
- 業者の身元情報を明かすことなく営業できる
- アカウントが停止されても別のアカウントで営業できる
- 警察が介入しても足がつきにくい
ひとことで言えば、LINEが普及したから闇金業者も活用し始めたということになります。
LINEは闇金業者にとっても手軽にお金を貸すことができて、警察にもバレにくいという点で、非常に便利なツールなのです。
LINE闇金の手口
それでは、LINE闇金はどのような手口でお金を貸して取り立てを行うのか、利用者はどんな被害に遭ってしまうのかをみていきましょう。
SNSなどで勧誘される
LINEでやりとりするためには、まず業者と利用者が何らかの接点を持つ必要があります。そこで、LINE闇金の多くはネット上のSNSや掲示板サイトなどで集客を行っています。
「ブラックでもOK」「即日融資」「誰でも借りられます」などの誘い文句をネット上に流し、アクセスしてきた人をLINEに誘導するのです。
人助けのために厚意でお金を貸す個人間融資を装ってLINE闇金が勧誘していることも多いの注意が必要です。
ホームページで集客する業者もいる
闇金業者がホームページを運用し、そこにアクセスしてきた人をLINEに誘導する手口も多いです。
この場合、利用者はまっとうな業者であると信じ込みやすく、お金を借りる心理的ハードルが下がってしまう傾向にあります。
正規の貸金業者であるかのように装ったホームページを運用する業者もありますが、堂々とソフト闇金であることを明かしている業者もいます。
それでも、「ソフト闇金なら怖い目には遭わないだろう」と考えて利用する人が後を絶ちません。
個人情報を聞き出される
闇金業者は融資のための審査と称して、様々な個人情報を聞き出してきます。
本人の氏名・生年月日・住所・携帯電話番号やメールアドレスなどはもちろんのこと、自宅の電話番号や家族構成、勤務先の連絡先、さらには親戚や友人・知人の氏名・連絡先まで伝えなければお金を貸してもらえないことが多いです。
しかし、実際には闇金業者は審査などしておらず、これらの個人情報は取り立てや嫌がらせ行為に利用されることになります。
法外な利息を要求される
LINE闇金も闇金なので、貸付の際には法外な利息を要求してきます。
貸金業者が要求できる金利は法律で最大でも年20%と定められていますが、闇金は法律などは無視し、年1,000%を超えるような金利を要求することが多いです。
それでも、「1週間で2割」「10日で3割」というように短期サイクルで金利を表示するため、利用者から見ればそこまで膨大な金利には感じないようになっています。
金利が高くても「すぐに返せば大丈夫」という考えで借りてしまう人が多いですが、実際に返済することは容易ではありません。
例えば、1週間に2割の金利で3万円を借りる場合、最初から利息の6,000円を差し引いた2万4,000円しか融資されないことが一般的です。それにもかかわらず、1週間後にはさらに利息を加えた3万6,000円を返済しなければなりません。
これだけの返済ができる人なら、そもそも闇金からお金は借りないでしょう。完済できない場合は利息だけを支払ってスキップし、それを繰り返しているうちに利息の支払いも難しくなっていくケースが非常に多いです。
払えなければ悪質な取り立てを受ける
払えなくなると、通常の闇金の場合と同じように悪質な取り立てを受けます。
LINEのチャットや通話で脅迫的な催促を受けるほか、家族や親戚、勤務先、友人・知人にまで嫌がらせの電話がかけられます。
自宅に大量の出前が届けられたり、救急車・消防車などを呼ばれたり、「金を返せ」「ドロボー」等の貼り紙をされるなどの嫌がらせ行為を受けることも少なくありません。
LINE闇金は無視できない?ブロックすることの危険性
LINEでは、相手のアカウントをブロックすることができます。LINE闇金から執拗な取り立てを受けると、そのアカウントをブロックしたくなることでしょう。
しかし、LINE闇金のアカウントをブロックすることには以下のような危険性があるため、要注意です。
ブロックしても取り立ては止まらない
アカウントをブロックした後はLINEでは連絡が来なくなりますが、だからといって取り立てが止まることは一切ありません。
LINE闇金は事前に顧客の個人情報を細かく聞き出しているため、取り立てを行う手段はいくらでもあるからです。
LINEでつながっている間はLINEを通じた取り立てでおさまっていたものが、ブロックすることによって家族や親戚、勤務先、友人・知人などへの嫌がらせ行為が始まってしまいます。
個人情報を悪用される
その他にも、プライベートな情報をネット上にばら撒くぞと脅されたり、実際にばら撒かれてしまうこともあります。
ソフト闇金では、女性の顧客からは担保と称して裸の写真を送信させ、払えなくなるとその写真が公開される被害事例が少なくありません。
さらに、個人情報が別の悪質業者に売り渡され、様々な詐欺の被害に遭うおそれもあります。
アカウントを乗っ取られる
LINE闇金の業者が利用者のLINEアカウントを乗っ取ることもよくあります。
そして闇金業者は、登録者本人を装ってLINE上の友だちに嫌がらせメッセージを送信したり、プライベートな情報を公開したりします。そのアカウントを闇金の営業や様々な詐欺行為に悪用されることもあります。
そもそも、LINE闇金の業者が使っていたアカウントも、他の顧客のアカウントを乗っ取ったものである可能性が高いです。
アカウントを乗っ取られることで、新たな被害者を生み出す可能性があるということを知っておきましょう。
LINE闇金による被害の実態
ここでは、実際の事例を通じてLINE闇金の被害の実態をご紹介します。
ソフト闇金業者が摘発されたケース
LINEを利用したソフト闇金業者が摘発されるケースが、たびたび報道されるようにになっています。
一例として、2021年3月にメビウスと称するソフト闇金グループの摘発された事例をみてみましょう。
県警は出資法違反(超高金利受領)などの疑いで、首謀者ら5人を逮捕(一部に有罪判決)、13人を書類送検した。県警生活環境課によると、犯行グループは福岡市を拠点とし2016年8月~19年12月、全国延べ約2万人に約9億円を貸し付け約5億円の不当な利益を得たという。
(中略)
犯行グループはインターネットで集客し、10万円未満の少額融資を中心としていた。連絡手段はLINE(ライン)かメール。返済が滞ると、暴力的な取り立てをするのではなく、ペナルティーを科した上でさらに融資し、顧客をつなぎとめていた。
激しい取り立てで追い込まれ、自殺者が出るなど多重債務は社会問題となり、06年に貸金業法が改正された。上限金利が引き下げられ、融資は原則、借り手の年収の3分の1にまで制限する「総量規制」も導入された。無登録のヤミ金業者への罰則も強化。こうした背景から、ヤミ金業者は暴力的な取り立てを控え、ネット上に犯行の場を移した。
「金利は違法ですが、最後の融資先としてがんばっております」
メビウスのホームページには、開き直ったような書き込みが残されている。
返済できなくなった顧客は、暴力的な取り立てを受けることはなかったようですが、その代わりに銀行口座の譲渡などの犯罪行為をするように指示され、警察に書類送検されるに至っています。
闇金に手を出すと、このように犯罪に加担させられることも多いので注意が必要です。
LINEを使った給料ファクタリングに手を出した事例
通常の闇金に様々なバリエーションがあるのと同様、LINE闇金にも様々なバリエーションがあります。
次の事例は、LINEで利用できる給与ファクタリングに手を出してしまったケースです。
19で闇金に手を出し3か月が経ちました。
利子は50〜90%です。
ただの闇金ではなくLINEで申し込みが出来るいわゆるファクタリングです。
給料が全てなくなりまた再契約の繰り返しです。
もう辞めたいのですが給料が上がる事もしばらくなさそうですし、どうしたら辞めれますか。
弁護士雇うと言ったって弁護士費用なんて出せませんし、親にもばれます。
最悪親にはもうバレても良いのですが何かお金がかからず対処出来る方法はないでしょうか。引用元:Yahoo!知恵袋
給与ファクタリングは、勤務先から給与をもらえる債権を業者に買い取ってもらうことによって現金化し、給与が支払われたらその中から返済する仕組みのサービスのことです。
ただ、給与ファクタリングの仕組みには法律上の問題が多いことから正規の業者が取り扱うことはほとんどなく、闇金業者がお金を貸す名目として利用しているというのが実情です。
上記の事例では、給料日になって返済するとお金がなくなり再度借りるということを繰り返しています。このままでは利息だけで給料が全部なくなってしまうため、早めに対処して相手業者との関係を打ち切る必要があります。
知り合いが利用した闇金業者から嫌がらせを受けた事例
次の事例は、自分ではなく知り合いが闇金業者を利用したというものです。
知り合いが闇金から借りたらしく仲良くないのに仲いい子のLINE渡してっていわれて自分の渡されました
連絡させないと追うぞとLINEですごい脅迫されています、闇金のLINEブロックしても追いかけられませんでしょうか
住所とかは知られてないはずですが引用元:Yahoo!知恵袋
LINE闇金の業者に限らず、闇金業者はこのように貸付時に知り合いのLINEのIDなどの個人情報も聞き出します。そして、本人が返済しなければ知り合いにまで連絡し、嫌がらせをするのです。
自分がLINE闇金を利用すると、払えなくなったときに他の人に迷惑をかけてしまうということを覚えておきましょう。
LINE闇金に騙されないための注意点
LINE闇金を利用する人の中には、闇金だと知りながら利用する人もいますが、正規の貸金業者であると勘違いして利用してしまう人もいます。
ここでは、LINE闇金に騙されて手を出してしまわないための注意点をご紹介します。
LINEのやりとりでお金を借りない
正規の貸金業者は、LINE Credit株式会社が公式に提供している「LINEポケットマネー」を除き、LINEのやりとりだけでお金を貸すことはありません。
最近は正規の貸金業者でもLINEで問い合わせに応じることはありますが、契約は必ず電話やWebサイトで行います。
LINEのやりとりだけで契約する業者は、LINE Credit株式会社を除いて間違いなく違法な闇金業者なので、手を出さないようにしましょう。
なお、LINE Credit株式会社は、LINE社・みずほ銀行・オリエントコーポレーションが共同出資して創設した正規の貸金業者です。
貸金業登録をしていない業者を利用しない
貸金業を営もうとする者は、財務局長または都道府県知事の登録を受けることが法律で義務付けられています。
そして、登録貸金業者のホームページや広告には登録番号が表示されているはずです。登録番号を表示していない業者は闇金に違いありませんので、利用してはいけません。
ただ、中には虚偽の登録番号を表示して正規の貸金業者であるかのように装っている闇金業者もいます。
見分けがつきにくい場合は、金融庁の検索サービスを使って、相手の業者が正しく貸金業登録をしているか確認しましょう。
借りる前に金利を確認する
正規の貸金業者は、利息制限法の上限金利を超える利息を要求することはありません。借入時に違法な金利を提示する業者は間違いなく闇金なので、借りないようにしましょう。
利息制限法所定の上限金利は、以下のとおりです。
- 元本10万円未満:年20%
- 元本10万円以上100万円未満:年18%
- 元本100万円以上:年15%
金利は年利で判断することが重要です。闇金業者は「1週間で2割」「10日で2割」といった金利を提示してくることが多いですが、これらの金利を年利に換算すると以下のように暴利となっています。
- 1週間で20%=年利で約1,043%
- 10日で20%=年利で730%
LINE闇金の被害に遭ったときの対処法
LINE闇金に手を出してしまった場合は、放置していると悪質な取り立てや嫌がらせ行為によって追い込まれ、生活を破壊されてしまうおそれがあります。
被害に遭った場合は一人で抱え込まず、以下のように対処していきましょう。
証拠を確保する
闇金問題を解決するためには警察や弁護士・司法書士の力を借りることが重要ですが、そのためにはまず証拠を確保しておくことが重要です。証拠が何もなければ、専門家も対応できないことがあるからです。
最も重要な証拠は、相手業者の連絡先です。延滞するまではLINEアカウント以外の連絡先はわからないことが通常ですが、取り立ての際にはLINE以外の手段で連絡してくることもあります。その場合には、その連絡先を保存するかメモしておきましょう。
また、これまでのLINEでのやりとりは全て、スクリーンショットで保存するか、印刷するかして証拠化しておきましょう。
警察に相談する
脅迫的な取り立てや、犯罪的な嫌がらせ行為を受けている場合は、警察に被害届を出しましょう。
必ずしも警察が闇金業者を逮捕してくれるわけではありませんが、ソフト闇金は警察が介入するとおとなしくなることが多い傾向にあります。したがって、警察から闇金業者に連絡してもらうだけで取り立てや嫌がらせ行為が止まることも少なくありません。
弁護士・司法書士に相談する
警察に被害届を出しても闇金からの取り立てや嫌がらせ行為が止まらない場合や、警察が対応してくれない場合は、弁護士または司法書士といった法律の専門家に相談しましょう。
闇金問題を根本的に解決するためには、弁護士・司法書士のサポートが必要となることが多いものです。
闇金被害で困ったときに弁護士・司法書士に依頼するメリット
LINE闇金に限らず、闇金被害で困ったときは、弁護士または司法書士に解決を依頼することを強くおすすめします。そうすることで得られるメリットは、以下の4つです。
- すぐに対応してもらえる
- 闇金業者への対応を任せられる
- 悪質な取り立てや嫌がらせ行為が止まる可能性が高い
- 闇金業者へ支払ったお金を取り戻してくれることもある
依頼者の味方として、依頼者に代わって闇金業者に対応してくれるのは弁護士・司法書士だけです。
法律の専門家は闇金業者に対して、取り立てや嫌がらせ行為をやめなければ法的措置をとる旨の警告を出します。闇金業者は訴えられることを恐れているので、この警告は有効です。
また、闇金業者も法律の専門家に依頼した顧客から金銭を取り立てることは容易でないと知っていますので、早々と他の顧客にターゲットを移すことが多いものです。
そのため、専門家が介入すると闇金業者からの取り立てや嫌がらせ行為が止まる可能性が非常に高いのです。
闇金業者からお金を取り戻せるケースは少ないのが実情ですが、それでも弁護士・司法書士に依頼するメリットは大きいといえるでしょう。
まとめ
LINE闇金というと新手の闇金業者であるかのようなイメージがあるかもしれませんが、新手というよりは今の時代にマッチした闇金業者ということになります。
闇金に対する法規制や警察の対応が強化されるにつれて従来の闇金がソフト闇金に形を変え、ソフト闇金の業者が便利なLINEなどのSNSを悪用しているというのが実態です。
したがって、LINE闇金の危険性は従来の闇金の危険性と同じです。
もし、LINE闇金に手を出してしまったときは、グリフィン法務事務所に相談しませんか。今すぐ解決して平和な生活を取り戻しましょう。