借金の返済に困った時に「審査なし」「ブラックOK」などの甘い文句に誘われて、つい闇金からお金を借りてしまったという人も少なくないでしょう。
しかし、闇金を一度でも利用してしまうと激しい取り立てや嫌がらせ行為を受けることが多く、自分だけでなく家族や職場、両親、近所など周りにも迷惑がかかってしまいます。
この記事では、闇金からお金を借りてしまうとどうなるのか、また借りてしまった時の対処法について解説していきます。
闇金から借りて返済できずに困っている人は、ぜひ参考にして下さい。
闇金からの借金を返せないとどうなるの?
闇金からの借金を返せない場合、違法な取り立てや嫌がらせを受けることが多く、被害は利用者をはじめ、家族や職場にまで及ぶことがあります。
具体的にどのようなことがあるのか、詳しく解説します。
返済額が膨大になる
闇金とは、法律で定められた金利よりも遥かに高金利で貸付をおこなう業者のことを指します。
闇金からお金を借りると、借りた額をはるかに超えた金額を請求され、月日がたつと返済額があっという間に膨らみます。
金利は10日で10%の「トイチ」や10日で50%の「トゴ」など、とても返済できないような条件で貸付を行う上に、返済できないと執拗な督促が待っています。
脅すような督促電話が執拗にかかってくる
返済が滞ると、まずは電話による取り立てが始まります。何度も執拗に電話がかかり続け、電話に出ると罵声を浴びせられるということも珍しくありません。
怖いからと電話を無視したり、着信拒否をしたりすると、さらに悪質な嫌がらせに発展していきます。
時間帯問わず自宅に取り立てにくる
闇金業者の中には、利用者が近隣に住んでいる場合、実際に取立てに自宅に乗り込んでくるケースがあります。夜間や早朝など時間構わず自宅に取り立てに来るのも手段の一つです。
名前を大声で叫ばれたり、夜中にドアを何度もノックされたりすることもあり、周囲の目が気になり、対応せざるを得なくなってしまうこともあります。
張り紙などでの嫌がらせ行為
自宅に取り立てに来るだけでなく、家のドアに返済を迫る張り紙を大量に貼られることもあります。張り紙をはがす作業に手間もかかりますし、近所の噂にもなってしまうでしょう。
他にも、下記のような嫌がらせ行為をされることがあります。
- 郵便物に大量に嫌がらせの紙を入れられる
- 勝手に宅配のピザや寿司を注文される
- 利用者の名前で通販の買物をされる
闇金は警察を呼ばれることを恐れているため暴力を振るうことは滅多にありませんが、様々な手口での嫌がらせ行為を仕掛けてきます。
家族や職場にも迷惑がかかる
闇金業者は貸付をおこなう際に家族や職場などの連絡先を必ず聞き取っているため、なかなか返済がされないと本人以外に取り立てを行うようになります。職場や子どもの学校に連絡すると脅され、実際に連絡がいくこともあるでしょう。
闇金にかかわることで、自分だけではなく家族や実家、勤務先にまで迷惑をかけてしまうのです。
闇金を見分けるためのポイント
闇金は一見、普通の貸金業者のように装っていることが多いため、知らずに利用してしまうという可能性は否定できません。闇金だと気付かずに利用してしまうことを避けるため、見分けるポイントを紹介します。
闇金の可能性が高いと思われる業者の特徴は下記の通りです。
- 携帯電話の番号しか記載がない
- 貸金業の登録番号の記載がない
- 事務所の住所や代表者などの記載がない
- 「審査なし」「ブラックOK」などと書かれている
闇金は警察の捜査から逃れるために拠点が分かる情報を記載しないことが多く、連絡先が携帯電話のみだったり住所の記載がない場合は闇金の可能性が高いといえます。
また、貸金業の営業を行うために必要な貸金業登録番号の記載がされていない場合も、闇金の可能性がありますので注意してください。
少しでも怪しいと感じたら、金融庁の「登録貸金業者情報検索入力ページ」で登録業者を確認しましょう。
【参考】:登録貸金業者情報検索入力ページ
闇金からの借入は返済する必要がない!本当?
「闇金から借りたお金は返さなくてもいい」とネットの情報で見かけることがありますが、本当に返済しなくてもいいのでしょうか。
なぜ闇金からの借入は返済する必要がないのか、詳しく解説していきます。
法定外での金利の貸付は違法
金利の上限は「利息制限法」という法律で定められており、利息制限法を超える金利での貸付は違法となります。
元本の金額 | 年間の利率上限 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万以上 | 15% |
闇金は、利息制限法の上限金利を遥かに超える高金利での貸付を行っています。利息制限法を上回る金利での貸付は違法となりますので、利息制限法を超える分の金利については返済する義務がありません。
また、そもそも闇金は貸金業の登録もせずに貸付行為を行っていますので、民放708条により、貸し付けの契約は無効となり、返済の義務が発生しない可能性があります。
不法原因給付(民法第708条):不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。
【引用】民法
闇金から借りていると分かった時はもちろん、自分では相手が闇金か判断がつかない場合も、弁護士や司法書士に相談してみることをおすすめします。
最高裁での判決でも認められている
闇金から借りたお金の返済義務がないことは、平成20年に最高裁の判決でも認められています。
この判決は、闇金業者の利息制限法を大きく上回る高金利での貸付は違法行為とし、借主は貸し付けられた金額を返す必要がないだけでなく、支払った金額すべてを損害賠償請求できるという内容です。
【参考】:金融庁「ヤミ金融業者に係る最高裁判決の概要について」
ただ、上記のような条件にすべての人が該当するとは限りません。
まずは闇金に強い弁護士や司法書士に自分の状況を相談し、今後の対応策を提案してもらいましょう。
闇金から借りた場合の注意点
お金の工面に困って闇金を利用してしまった時に、いくつかの知っておきたい注意点があります。
闇金対策として、利用できない・してはいけないことがいくつかありますので、順番に確認していきましょう。
債務整理ができない
闇金から借りたお金を、自己破産などの債務整理でリセットしようと考える人もいるかもしれませんが、闇金からの借入は債務整理ができません。
債務整理とは、借金の返済が困難な場合に借金の負担を軽減して生活を立て直すための手続きのことですが、闇金からの借入れは法律上借金ではないため債務整理の対象外とみなされます。
督促の電話を無視するのはリスクが高い
闇金からの督促電話が恐ろしく、かかってきても無視したくなりますが、電話に出ないと嫌がらせ行為がエスカレートする可能性があるため、放置することはおすすめできません。
電話を最初からずっと無視することはリスクが高いため、対応した上で早めに専門家に相談しましょう。
自力で交渉するのは危険
闇金に対して自力で交渉するのもリスクが高いといえます。自分一人で強気で交渉しても、かえって闇金を怒らせて今以上の嫌がらせを受けてしまう可能性もあります。
闇金は素人が一人で交渉してもまともに対応してくれませんので、必ず弁護士などの専門家に対応してもらうことをおすすめします。
闇金の返済ができない時に相談できる場所
闇金の返済ができず執拗な督促に困っている時には、相談できる窓口があります。
ここでは、闇金の対処法に困っている時に頼れる場所をいくつか紹介します。
国民生活センター
国民生活センターは、国民生活の安定や向上のために、情報の提供や調査、研究をおこなう独立行政法人です。全国に相談窓口があり、電話での相談にも対応しています。
国民生活センターでは直接専門家が電話で対応してくれるわけではありませんが、闇金被害を相談できる弁護士や司法書士を紹介してくれるでしょう。
警察
闇金被害は警察にも相談することはできますが、注意点もあります。警察には「民事不介入」という原則があり、「闇金から督促の電話がかかるから逮捕してほしい」という依頼は対応してくれない可能性が高いです。
しかし、下記のようなことがあれば、警察が動いてくれる可能性はあります。
- 「殺すぞ!」などの脅迫を受けた
- 暴力を受けた
- 物を壊された
- 毎日外で騒ぎ立てる
上記のようなことがあっても、一人で警察に相談に行くのが不安なのであれば、先に弁護士など専門家に相談した上で、警察へ同行してもらうとよいでしょう。
法テラス
法テラスとは、国民の法的トラブルを解決することが目的の公的な機関です。
法テラスを利用するには収入や財産が一定以下という基準がありますが、条件に該当すれば、弁護士や司法書士などの専門家に無料で相談することができます。
また、専門家に支払う費用を分割払いできるなど金銭的な余裕がない人にはメリットが大きいでしょう。ただし、闇金対策に対応している弁護士が担当するとは限らないため、自分の状況をまずは相談してみましょう。
闇金対策は弁護士や司法書士に相談するのがおすすめ
闇金への対応に困った時は、闇金に強い弁護士や司法書士に相談するのが最適です。
専門家に闇金への対応を依頼するメリットを確認していきましょう。
借金の督促を止められる
闇金被害に対して弁護士や司法書士が対応すると、催促や嫌がらせがすぐに止まる可能性があります。
闇金業者は弁護士や司法書士の介入を恐れているため、専門家が関わっていると知った途端に手を引くケースも多く、被害を最小限に抑えるためにも一刻も早く相談するようにしてください。
闇金に強い専門家なら対処法を熟知している
闇金問題への対応に慣れている弁護士や司法書士であれば、闇金との交渉がスムーズに進むため、闇金に熟知した専門家に相談することも大切です。
弁護士や行政書士などの専門家は、本人や周囲に対する請求や嫌がらせ行為を今後一切おこなわないように警告します。また、支払ってしまったお金の返還請求をしてもらうことも可能です。
しかし、闇金問題に慣れていない専門家だとこれらの交渉がうまくいかないこともあるので、迅速に対応してもらうためにも闇金への対応に慣れている専門家に相談するようにしましょう。
法的手段にでることも可能
警告してもなかなか取り立てや嫌がらせを止めない闇金に対して、損害賠償請求など訴訟を起こすこともできます。しかし、多くの闇金は、面倒な事態になると逃げだしてしまい、居所が分からず連絡が取れなくなることも多いため、実際には請求できない場合も多いようです。
ただ、法的手段にでることを伝えるだけでも、お金の回収を諦める可能性が高いので、強い手段に出たい場合も、弁護士などの専門家が頼りになるでしょう。
闇金以外の借金を債務整理することもできる
弁護士や司法書士に、闇金以外の借金を債務整理してもらうことも可能です。
闇金を利用する人の多くは、闇金以外にも複数の借金を抱えている場合が多く、闇金以外の借金を債務整理によって返済負担を減らしてもらうことで、借金生活を改めるきっかけにもなるでしょう。
専門家に依頼すると書類作成や交渉はすべてお任せできるため、できるだけ早めに相談することをおすすめします。
まとめ|少額でも闇金には絶対に手を出さない!
いくら資金繰りに困っている場合でも、闇金にだけは手を出してはいけません。闇金は一度お金を借りてしまうと、本人だけでなく家族や職場、両親にまで被害が及ぶことがあるからです。
闇金被害は自分一人では対処できないケースが多いので、すぐに司法書士のような法律の専門家に相談しましょう。