闇金に返さなければ殺されることはある?身の安全を守るための対処法

グリフィン法務事務所

この記事の監修
グリフィン法務事務所 司法書士 今井 亨

東京司法書⼠会:7970/代理権認定番号:712017
闇金問題の被害者救済の専門家として活動する司法書士です。闇金トラブルの取扱い件数は国内トップクラスの実績があります。適切かつ迅速にサポートすることをモットーにしています。

東京司法書⼠会:7970/代理権認定番号:712017
闇金問題の被害者救済の専門家として活動する司法書士です。闇金トラブルの取扱い件数は国内トップクラスの実績があります。適切かつ迅速にサポートすることをモットーにしています。

闇金への返済が遅れると脅迫的な電話がかかってきて、「殺すぞ!」などと怒鳴られることがよくあります。あまりの剣幕に怯えてしまい、「このまま払えなければ本当に殺されるのでは…」と不安を感じる方も少なくないことでしょう。

闇金が返済できない利用者を殺すことは実際にあるのでしょうか?この記事では闇金から身の安全を守るための対処法についてご説明します。

闇金に殺されることはまずない

闇金は利用者の返済が滞ると執拗に電話をかけてきては「払わなければ殺すぞ!」「命の保障はないと思え!」など恫喝してきます。それだけではなく、ありとあらゆる手段を使って利用者が身の危険を感じるような嫌がらせをしてくるものです。

一般の利用者がこのように脅されると「本当に殺されるのでは」と怯えてしまうのも無理はありません。真面目に返済しようと考えている人ほど、怯えてしまう傾向にあるでしょう。

しかし、闇金が実際に利用者を殺すようなことは、まずありません。闇金が利用者を恫喝したり嫌がらせをしたりするのは、ある明確な目的に基づいています。利用者を殺してしまうとその目的を果たせなくなるので、殺される心配をする必要はほとんどありません。

闇金に殺される心配はほとんどいらない理由

闇金から「殺すぞ!」などと怒鳴られても、以下の理由により、実際に殺されることはほとんどありません。

闇金はお金を巻き上げるのが目的

闇金の目的は、何といっても利用者から少しでも多くのお金を巻き上げることにあります。

利用者を殺したところで、闇金には1円のお金も入りません。利用者が生きていればお金を支払わせることもできますが、殺してしまうとお金を巻き上げることはできなくなります。

つまり、闇金にとって利用者を殺すことはマイナスにしかならず、プラスになることはありません。違法な闇金といえども、無意味な殺人をすることはないのです。

「殺すぞ!」はお金を巻き上げるための脅し文句

闇金が「殺すぞ!」などと怒鳴って利用者を恫喝する目的も、お金を巻き上げることにあります。

闇金に手を出すような利用者が容易に返済できないことは、闇金自身が熟知しています。そんな利用者にお金を支払わせるための手っ取り早い手段が脅迫です。

人は、殺されると思えばどんなことでもやってしまうものです。そのため、闇金は利用者に対して「本当に殺されるかもしれない」というほどの恐怖心を植え付けるために、激しい恫喝や悪質な嫌がらせをしてくるのです。

人を殺すことはリスクが大きすぎる

闇金業者といえども人間なので、滅多なことでは人を殺したりはしないものです。

殺人が発覚すると長年刑務所に収容されますし、発覚しなかったとしても耐えがたい罪悪感と後悔で残りの人生を過ごさなければならないでしょう。

そもそも、闇金が融資するのは数万円から多くても10万円程度です。このような少額の金銭を回収するために人を殺すなどということは考えがたいといえます。

闇金は身バレするリスクを犯さない

近年は闇金に対する法規制や警察による取り締まりが強化されていることもあり、ほとんどの闇金業者は身バレすることを恐れています。

そのため、携帯電話やインターネットのみで身元を明かすことなく営業しているのです。取り立てや嫌がらせ行為をするにしても、電話で脅迫したり、個人情報をネット上に流すなど、容易には足がつかないような手口がほとんどです。

利用者と対面して殺人や暴力沙汰の事件を起こすことは身バレのリスクが極めて高いため、近年の闇金業者が実行することはほとんどありません。

全国対応の闇金はそもそも対面しない

近年の闇金は携帯電話やインターネットを利用して全国のお金に困っている人をターゲットとしています。

このような全国対応の闇金業者は、利用者が滞納したからといって直接取り立てに出向くことはそもそも想定していません。「非対面型」の営業に終始しているのです。

例えば、闇金業者が東京にいるとして、大阪在住の利用者が滞納しても取り立てに出向くことは物理的に困難ですし、お金を回収できたとしても費用対効果が悪すぎます。

それよりは、電話で利用者を恫喝し、「殺すぞ!」などの脅し文句で震え上がらせ、お金を支払うように仕向けるのが闇金業者の常套手段です。

闇金に「殺すぞ」と言われたときの注意点

闇金に殺されることはほとんどないとはいっても、闇金からの取り立てを甘く見てはいけません。闇金は、利用者にお金を支払わせるためにありとあらゆる手段を使って精神的に追い込んできますので、以下の点にはくれぐれもご注意ください。

闇金に殺された実例はある

先ほどから、闇金に殺されることは「ほとんど」ないとご説明していますが、「絶対に」ないとは言い切れません。過去には実際に闇金が利用者を殺した事例があるからです。

従前は暴力団が運営する闇金が利用者と対面した上で融資することが多かったですが、現在でもこのような闇金業者は存在しています。

地元の闇金業者は直接取り立てに出向くこともありますし、対応次第では暴力団構成員が殺傷沙汰を起こすことがないとはいえません。

闇金が直接取り立てに来ることはないと過信することは控えましょう。

悪質な取り立て・嫌がらせは受ける

殺されることはないとしても、闇金による取り立てや嫌がらせは精神的に耐えがたいものです。

家族も取り立ての電話を受けることで家庭不和となり、離婚問題や一家離散といった問題に発展することもあります。職場にまで取り立ての電話がかかってくることで退職に追い込まれるケースも少なくありません。

闇金問題を放置していると、まさに「死んだ方がマシなのではないか」という精神状態に追い込まれてしまうでしょう。

女性は売春を強要される可能性が高い

闇金はお金を巻き上げることが目的なので、返済できそうにない利用者に対しては実入りの良い仕事を紹介することがあります。

とはいっても普通の仕事ではなく、男性の場合は「タコ部屋」と呼ばれる現場における重労働、女性の場合は風俗での仕事に従事することを強要されます。それに応じなければ「命の保障はないぞ」というわけです。

特に女性の場合は、「体で利息を支払え」などと言って性行為を強要されることもあるので注意が必要です。

返済しても解決にならない

きちんと返済すれば殺されることもないし嫌がらせを受けることもないだろうと考え、金策をして返済しようとする方もいますが、返済しても闇金問題は解決できないことを知っておきましょう。

闇金の仕事は、簡単にいうと利用者を脅して精神的に追い込み、できるだけ多くのお金を支払わせるというシステムです。

真面目に返済する利用者は闇金から見ると「この人は脅せば支払う」ということになります。そうなると「カモ」と認定されてしまい、次々にさまざまな名目でお金を要求されてしまいます。

闇金から提案があっても応じてはいけない

また、闇金は返済に窮した利用者に対して、借金を帳消しにすることと引き換えに犯罪行為の手伝いを要求してくることもあります。

特に多いのは、銀行口座や携帯電話・スマホの譲渡を求められるケースです。

闇金は警察に身バレしないよう、第三者名義の銀行口座や携帯電話・スマホを営業に使用しています。これらのものを誰かから提供してもらわなければ、闇金は営業できません。そこで、返済に窮した利用者に提供を強要してくるのです。

また、闇金を営むような悪質業者は、振り込め詐欺や給付金詐欺などの特殊詐欺も手がけていることがあります。

特殊詐欺で逮捕されやすいのは受け子や出し子など末端の実行者で、黒幕はなかなか逮捕されないことが多いものです。そこで、返済に窮した利用者に末端の役割を行わせようとします。

以上の行為はいずれも犯罪なので、警察に発覚すると利用者が逮捕される可能性が高いです。闇金から「借金をチャラにしてやる」などと提案されても、決して応じてはいけません。

闇金による殺人よりも借金苦による自殺の方が問題

闇金に利用者が殺されることはほとんどなく、あったとしても極めて稀です。それに対して、借金苦を原因として自殺に追い込まれる人は毎年何千人もいます。

厚生労働省および警察庁が公表した統計によれば、令和3年中に自殺した人の数は2万1,007人でした。原因別に見ると最も多いのが「健康問題」で9,860人ですが、その次に多いのが「経済・生活問題」で3,376人です。(【出典】令和3年中における自殺の状況)

この統計には、遺書を残していたなどの状況から明確に自殺と断定できるケースしか計上されていません。実際には、さらに多くの人が借金苦で自殺している可能性があります。

闇金は、滞納した利用者に対しては徹底的な手段で精神的に追い詰めてきます。追い詰められてしまうと正常な思考ができなくなり、「死にたい」と考えてしまうかもしれません。

ですので、闇金と関わってしまったら、精神的に追い詰められる前に正しく対処することが非常に大切です。

闇金に脅されたときの対処法

闇金に「殺すぞ!」などと脅されたときは、一人で対処しようとしても限界があります。以下のように、専門家の力を借りて対処していきましょう。

警察に相談する

身の危険を感じるほどの脅迫を受けたときは、警察に相談しましょう。電話による脅迫だけでも脅迫罪が成立していますので、被害届を提出することもできます。

ただ、証拠がなければ被害届を受理してもらえないこともあるので、闇金から脅されたときの通話を録音するなどして証拠を確保するとよいでしょう。

闇金は警察に検挙されることを恐れているので、警察から注意されるだけで脅迫行為が止まることもあります。

弁護士・司法書士に依頼する

闇金は第三者名義の銀行口座や携帯電話・スマホを営業に用いるなどして足がつかないように工夫しているので、警察から注意を受けても脅迫行為をやめないケースも少なくありません。

そんなときは、弁護士または司法書士に依頼して法的に対処してもらうことが有効です。依頼を受けた弁護士・司法書士は、依頼者のみの安全を守るために即日動き出します。

闇金は、弁護士・司法書士が介入した以上、その利用者からお金を巻き上げることは困難であることを熟知しています。

また、弁護士・司法書士が不正利用された銀行口座や携帯電話・スマホを強制解約させる手続きをとり、闇金が営業できなくなるようにすることも可能です。

そのため、多くの場合は弁護士・司法書士から闇金に警告の連絡をした時点で、脅迫行為や嫌がらせ行為が止まります。

他に借金があるときは債務整理

闇金に手を出す方の多くは他にも借金があり、「生活費が足りないけれど、どこからも借りられなくなった」「返済が間に合わないので即日借りたい」といった状況に陥っているのではないでしょうか。

そんなときは、債務整理によって根本的に借金問題を解決することを検討してみましょう。

債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがありますが、状況に応じて適切な手続きを選ぶことで、正規の貸金業者からの借金問題は解決できます。

弁護士・司法書士のサポート受けて、まずは闇金からの脅迫を止め、それから落ち着いて債務整理に取り組むとよいでしょう。

まとめ

近年主流となっている非対面型の闇金からお金を借りた場合は、電話でどのように脅されたとしても殺されるようなことはまずありません。

それよりは、脅迫的な取り立てや悪質な嫌がらせによって、精神的に追い込まれてしまうことの方が問題です。

一人で抱え込んでいると精神的に追い込まれてしまい、殺されなくても深刻な事態に陥ることになりかねません。

弁護士・司法書士の力を借りて、闇金から身の安全を守りましょう。