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Myspaceの栄枯盛衰から見る、SNSにとって大事なもの

Myspaceの栄枯盛衰から見る、SNSにとって大事なもの

近年注目を集め続けるSNSですが、ずっとオンラインサービスの閲覧数の上位にあったわけではありません。また、SNSの中でも同じサービスが常に人気を保ってきたわけでもありません。中には、一時飛ぶ鳥を落とす勢いで成長したものの、徐々に衰退していったサービスもあります。

2000年代半ばくらいにウェブサービスに敏感だった人であれば、音楽に詳しくなくてもMyspace(マイスペース)に登録していた人はいらっしゃるのではないでしょうか。Myspaceは2003年にアメリカで始まった、音楽を主要コンテンツとしたソーシャル・ネットワーキング・サービスです。数年で人気に火がつき、音楽をやっていなくても登録するメディアへと成長。メジャーなミュージシャンとのコンタクトや、新人の発掘にも使われるようになりました。あの世界的歌手、アデルもMyspaceでレコード会社に発見され、デビューに至っています。

そんなMyspaceは2008年にFacebookに訪問者数で抜かれ、ユーザー数が減少し始めます。そして今ではあまり話題に上らなくなってしまいました。ウェブサービスの王者にまでなったのにもかかわらず、これほど衰退した原因はどこにあるのでしょうか。

Myspaceの衰退した原因

1.ページが重い

昔のインターネットは、通信速度が今ほど早くなかったため、ページのデータが大きい場合、閲覧に時間がかかるものでした。表示までに時間がかかるウェブサイトは珍しいものではありませんでしたが、そのようなサイトはホームページにしたり、常用したりするのには疎まれました。Myspaceも同じく、サイトの構造上データが大きく、動作が遅いものでした。ランディングページのように縦長のページにバンドの経歴からライブ情報、作品情報、雑記などが所狭しと並んでいたので、表示に時間がかかるのも当然です。

動作が軽いのと重いのとでどちらかを選択できるのなら、誰もが軽いものを選ぶことでしょう。それはユーザーの流出を示唆しています。

2.Facebookの台頭

Facebookは言わずと知れた、マーク・ザッカーバーグ氏が2004年にハーバード大学の連絡網のようなものを作る目的で始めたSNSです。ユーザーは実名でアカウントを作成し、実際に知っている人とサービス上でも友だちになります。学校を卒業して以来会っていなかった友人を見つけられるほか、手軽に画像や文章が共有でき、瞬く間に成長しました。

Myspaceではバンドのお知らせや宣伝ばかりが届く一方、Facebookでは現実の友達のメッセージなどが届きました。その結果、会えないアーティストをフォローするのではなく、Facebookでリアルな生活をより充実したものにすることに人々が躍起になり始めたのです。

3.SouncCloudの台頭

soundcloud

2007年から始まった音楽投稿ソーシャルメディア、SoundCloudは似たようなサービスの中でも早々に頭角を現した存在でした。続々と大物ミュージシャンたちが登録し、音楽を発表し始め、新規ユーザーもそれに続きました。特に若手の場合はミックステープの作製代わりに、楽曲を載せるパターンも増えています。一説によると、2010年ごろのEDMの流行はこのSoundCloudの影響もあるといいます。新しくて格好いい音楽の発掘場所は、現在はSoundCloudに取って代わったと言ってもいいでしょう。

ページの構成はブログ型ではなく、楽曲の波形がリスト表示されるというとてもシンプルな作りになっています。そんな中でも、最大の特徴は曲の埋め込みがしやすいことです。ブログに埋め込めば、閲覧者はSoundCloudにログインしたり、移動したりすることなくブログ上で曲の試聴ができます。

現在、音楽ソフトの販売総額は2005年と比較すると75%程度に縮小しています。Myspaceが開始された2003年とは状況が異なります。CD売上枚数の落ち込みが大きい一方、有料デジタル配信の総額は伸びつつあります。今後、ますますこの傾向は進んでいくでしょう。それはつまり、ストリーミングサービスへのアクセスが増えるということを意味しています。SpotifyやTidalなどのサービスがソーシャル化するのかどうかによって、今後SoundCloudとの競争の可能性もあります。

ウェブサービスの王者から音楽系SNSの一つへ

一時はウェブサービスの頂点に上り詰めたMyspaceですが、何度かリニューアルを重ねています。その度にデザインが変わっているところを見ると、視覚的な先進性は追求し続けている様子が伺えます。アカウント登録は可能で、ソーシャルメディアとしてのサービスも続行しています。しかし、人とつながるためというよりかは、音楽・エンタメをメインとしたプラットフォームといった印象です。特にトップページはニュース記事が大きく画面を飾っているため、メディアサイトのようにも見えます。当初は現在のFacebookのように、白と青だけのシンプルなデザインだったとはとても信じられません。

ソーシャルメディアはユーザーが命

Myspaceの隆盛と衰退を概観すると分かるのは、結局、ソーシャルメディアはユーザー自体がコンテンツだということではないでしょうか。音楽ストリーミングサービスや配信サイトには「プロによる音楽」という商材があります。しかし、SNSのほとんどは投稿型であるため、ユーザーが居なくなってしまっては何のコンテンツも更新されません。それはつまり、訪問者数の動向がサイトの品質に直接反映され、繁栄と衰退のサイクルが早い傾向にあるということです。人気がなくなった観光地は廃れて見えることでさらに人が来なくなる現象と似ています。

SNSの始まりを2002年のFriendsterとするならば、その歴史はまだ15年と浅いです。今はFacebookの登録数が世界一ですが、5年後にはどうなっているか誰も分かりません。長い目で見れば、インターネット自体がまだ草創期と呼べるかもしれないため、当然です。まだまだこれからもウェブサービスを取り巻く状況は変わっていくでしょう。