実名報道 ネット削除

普段私たちは誰かが逮捕された実名入りのニュースを日常的に見ていますが、これが自分だったらどうなるだろうと考えてみたことはおありでしょうか。

逮捕のニュースが流れる際には実名報道になっていることが多く、これが本人の社会復帰に悪影響を及ぼすと考える方は多いと思います。

しかも逮捕されたからといって、その人がまだ有罪になったり刑務所送りになることが決まったわけではありません。逮捕されたからといって、それが誤認逮捕かもしれませんし、不起訴、起訴猶予といったように前科そのものがつくことがないような処分で終わることもあります。

しかし、「逮捕された」という事実が実名報道されてしまうと、世の中から白い目で見られることは間違いなく、それが社会復帰を妨げることは想像に難くありません。

そこでこの記事では、逮捕の実名報道が及ぼす影響と、実名報道がネットなどに残ったままになってしまっている場合の対処法について解説します。

実名入りの逮捕報道が与えるインパクトと影響

最初に、逮捕された事実が実名報道されたことによって起きると考えられることと、それが社会復帰にどんな影響を及ぼすのかを考察してみましょう。

そして、そもそもどんな場合に実名報道されるのかについて解説します。

実名入りで逮捕を報道されると起きること

①勤務先からの解雇

実名報道によって、逮捕された事実が勤務先に発覚する可能性が高くなります。実名報道がなければ病欠などでごまかせるかもしれませんが、実名報道されてしまったとなると、勤務先の誰かがその報道から逮捕の事実を知る可能性は高くなります。

勤務先に発覚したことによって、解雇されるといった事態は十分に考えられます。

②離婚、破局

結婚相手がいる人、結婚を予定している相手がいる人についても、逮捕の実名報道によってそれが離婚に発展したり、破局につながることは十分あり得ます。

もちろん、パートナーは身近な存在なので実名報道がなくても逮捕されたことを知り得る立場にありますが、問題はその親御さんなど第三者です。

特に実名報道されたことによって親御さんに逮捕された事実を知られてしまうと、そこから離婚や破局へのバイアスがかかる可能性があります。

③長期間にわたって社会復帰を妨げる

実名報道が新聞やテレビだけであれば、一過性の情報としてほとんどの人が忘れてしまいます。しかし、厄介なのはネット上の情報です。実名報道された記事やコンテンツなどが残ったままになっていると、誰かが検索をした時に逮捕されたことを知られる恐れがあります。

このことが、本人の再就職や結婚、男女交際などの足を引っ張ってしまい、いつまでも社会復帰を妨げることが考えられます。

実名入りで報道される目安

そもそも、なぜ逮捕されたことが実名報道されるのでしょうか。世の中には毎日のように逮捕されている人がいますが、すべての事件が実名報道されているわけではありません。

実名報道になる目安は、以下の通りです。これらに該当すると実名報道になる可能性が高くなります。

①重大事件
殺人、強盗、強制性交などの重大・凶悪犯罪である場合。

②珍しい事件
初摘発となるような新手の犯罪、法改正で違法化されたばかりの事件など。

③被疑者の知名度や職業などが耳目を集めやすい事件
被疑者が芸能人、有名人である場合や、犯罪とは程遠い職業・身分である場合など。

あまり表現は良くありませんが、実名報道は世の中の「野次馬」のためにある部分があります。重大な事件や有名人の事件、珍しい事件などについては報道に関心を持つ人が多いので、実名を交えて報道することでそんな人たちのニーズに応えているわけです。

実名入りで報道されるタイミング

逮捕されたことが報道されるタイミングには、2つの種類があることをご存じでしょうか。

1つ目は、逮捕された直後です。これは重大事件など社会的な影響が大きい事件、または被疑者が有名人の場合などに多く見られます。逮捕された日が明確に報道されるため、もちろん実名報道です。

2つ目は、起訴されてからの報道です。それほど重大事件ではないものの社会的な注目度が高そうな事件や、まだ処分が不透明な事件などに多く、一般の人は主にこちらに含まれます。「●月●日までに逮捕されました」といったように逮捕の日付があいまいに表現されているのが特徴です。

この場合も実名報道であることが大半ですが、起訴後の報道なので、すでに保釈されている人が自分の報道をテレビなどで見るといった現象が起きることもあります。

実名入りの逮捕情報はネットから削除できるか

実名報道があった場合はネット上にその記事や情報が残っていることが多く、これが社旗復帰を妨げる恐れがあります。こうしたネット上の実名報道は削除することができるのでしょうか。

実名入りの逮捕情報は「名誉棄損」に該当しない

逮捕された事実が実名報道されるのは、いわゆる報道の自由に該当します。

「公益の目的に基づく、公共の利害に関する事実の報道」と解釈されているため、実名報道されたことを理由に名誉棄損であると主張することはできませんし、報道するなと要請することもできません。

実名報道はネットに残ってしまう

新聞やテレビなどの情報は一過性の色合いが強いので、仮に実名報道されたとしても、それが1回だけなら世の中のほとんどの人はすぐに忘れ去ってしまうでしょう。

しかし、ネットは違います。実名で報道されているため名前で検索するとヒットする可能性が高く、逮捕からずいぶん時間が経ったあとであっても実名報道を見つけることができてしまいます。

削除に応じてもらいやすいケース

ネット上に残ってしまった実名報道を削除してほしいと要請しても、それが報道の自由や公益性の範囲内である場合は、なかなか応じてもらうのは難しいでしょう。

しかし、その逮捕が誤認逮捕であったり、不起訴、起訴猶予、または示談成立によって事件そのものがなくなっている場合などは、逮捕されたことは事実であっても処分されたわけではなく、まして前科がついているわけでもないので、削除に応じてもらえる余地があります。

【参考】:誤認逮捕のネット書き込みは削除することはできるの?

起訴された場合の削除の可能性

それでは、起訴されて有罪なった場合は削除される可能性はないのでしょうか。残念ながら事件が起きてから時間が経過していない場合は難しいですが、すでに処分が確定してから時間が経過している場合、または本人に更生への具体的な行動が見られる場合は、削除に応じてもらえる可能性があります。

この「時間の経過」については、事件になった罪状の公訴時効期間満了が目安とされています。例えば近年多く見られる覚醒剤所持や使用の事件だと公訴時効は7年なので、処分が確定してから7年後以降は削除の可能性がある、といった具合です。

更生への具体的な行動として典型的なのは、再就職です。実名報道が再就職への妨げになるのであれば、それを削除してほしいというのも無理のない道理です。

掲載サイト、検索エンジンへの削除要請

すでに処分が確定した事件の場合は、削除の要請をしても掲載側の判断次第ですが、誤認逮捕だった場合は全く対応が異なります。そもそも違法行為がなかったのですから、警察や検察がミスをしなければ逮捕されることもなかったはずです。

この場合、逮捕されたという実名報道が残ったままになっているのは名誉棄損にあたると解釈されるためネットの書き込み削除を要請することができます。

【参考】:逮捕歴(犯罪歴)・前科の記事を削除しないリスクを解説

有罪ではないのに削除されない場合の対処法

それでは最後に、誤認逮捕や処分保留などによって事件そのものがなくなってしまった場合の対処法について解説します。

名誉棄損を根拠に削除要請

そもそも事件がなくなっているのに「逮捕された」という実名報道だけが残っている場合は、その情報が掲載されているそれぞれのサイトの運営者に削除要請をしましょう。

この場合、名誉棄損の疑いがあることをしっかり伝えるのが重要です。なぜなら、プライバシー権だけだと法的根拠が弱く、削除に応じてもらえない可能性が高いからです。

検索エンジンからも該当の情報を削除してもらう必要があるので、検索エンジンにも削除要請を出します。Googleの場合は、以下のページから削除要請を送信することができます。

【参考】:Google から情報を削除する

こうした削除要請だけでは対応してもらえない、何の返答もない場合は、仮処分による法的手段が可能です。ここでポイントになるのが、プライバシー権の保護だけではなく名誉棄損の疑いがあるという「法的な強さ」です。

名誉棄損に該当することは仮処分の要件である「必要性の高さ」を満たしているので裁判所に認められやすく、裁判所がこれを認めた場合は削除に応じる義務があります。

専門の削除業者に相談する

ネット上の複数のサイトに実名報道が残っている場合や、どこに削除要請をして良いのか分からない場合、さらには削除要請をしても応じてもらえない場合など、一般の人が自力で対応しようとしてもなかなか難しいものがあります。

そこで頼りになるのが、ネット上の不利益情報や風評対策のプロです。当サイト風評被害バスターズにご相談いただければ、各種サポートが可能です。

まとめ

マスコミ報道もそうですが、ネット情報の報道も自分ではコントロールできないため、実名報道を止めることはできません。

しかし、時間が経過している場合や、そもそも無実である場合などは、ネット上に残ってしまっている実名報道を削除できる可能性が高く、適切に対応して社会復帰の妨げにならないようにしましょう。特にネット上の情報は拡散する恐れがあるため、早めの対応をおすすめします。