誤認逮捕 ネット削除
誤認逮捕、つまり無実の人が間違った捜査によって逮捕された場合、それは前科前歴にはなりません。法的に不利益になることは一切ないのですが、問題は「逮捕された」という事実が広く知られてしまうことです。

逮捕された人の全員が起訴され、有罪になるわけではありませんが、世の中は必ずしもそうは思ってくれません。誤認逮捕であっても逮捕された事実がネット上に残ってしまうと、そのことが個人の不名誉や不利益につながってしまいます。

誤認逮捕だった場合、逮捕歴をネットから削除することはできるのでしょうか?当記事ではその可否と具体的な方法論について解説します。

誤認であるか否かにかかわらず、逮捕歴は削除できるか

そもそも逮捕されたことがネット上に掲載されてしまっている場合、それが誤認逮捕であっても、そうでなくても削除はできるものなのでしょうか。

最初に逮捕そのものの仕組みから削除の可否についての基礎的な情報を解説します。

逮捕から有罪までの仕組み

普通の生活をしていて逮捕される経験をすることはなかなかないので、逮捕そのものに対して正確な認識をお持ちの方が少ないと思います。

逮捕=有罪=刑務所行きというわけではないので、まずは逮捕から有罪になってしまうまでの流れをつかんでおいていただきたいと思います。

①逮捕

警察や検察の捜査によって嫌疑が固まると、捜査機関は裁判所に逮捕状を請求します。これを執行するのが、逮捕です。それ以外にも現行犯逮捕や緊急逮捕など、その場で違法行為が確認された場合は逮捕状なしで逮捕されることもあります。

②起訴

逮捕されてから48時間は、その人をさらに取り調べる必要があるのかを精査し、取り調べの必要があるかどうかを調べます。勾留の必要があると判断されたら勾留請求が出され、裁判所が認めれば10日間の勾留となります。それがなければ、48時間以内に釈放となります。

10日後に、まだ取り調べが必要であると判断した場合は勾留延長の請求がなされ、裁判所が認めれば10日間の勾留延長となります。勾留は最長が20日間なので、最初の48時間+20日間が経過した時点で起訴するかどうかが判断されます。ここで嫌疑不十分であれば、起訴はされず釈放です。

③有罪

起訴されると、その人は被疑者から被告人となります。警察の留置場で勾留されていた人は拘置所に移送され、裁判を待つことになります。ここで保釈金を積んで判決が出るまで外に出ることができますが、これを保釈といいます。

裁判の結果、有罪判決が出されれば有罪となりますが、執行猶予判決や無罪判決の場合は即日釈放となります。実刑判決であった場合は、14日間の控訴期間を経て判決が確定したのちに被告人から受刑者となり、刑務所に移送されます。

誤認逮捕は世間から犯罪者のように見られてしまう

この一連の流れをご覧になってお気づきかと思いますが、最終的に有罪判決が出ない限りは無罪や不起訴、起訴猶予など法的に罪を問われることはなく、あくまでも罪人扱いされるのは有罪判決が出た場合のみです。

しかし、多くの人は「逮捕=有罪」というイメージを持っているので、誤認逮捕であるかどうかにかかわらず、逮捕歴があるとその人を世間は罪人のように見てしまう風潮があります。

誤認逮捕の場合は逮捕そのものに根拠がないので、勾留請求が行われず48時間以内に釈放されるか、最終的に不起訴となり、いずれにしても釈放されます。この場合、前科もつきません。

法的な不利益を被ることは一切ないのですが、誤認逮捕であっても一度は勾留されたり、そのことが広く知られたりする可能性があるため、先ほど述べたような一般的なイメージだけが独り歩きをしてしまって風評被害のような不利益につながってしまうのです。

逮捕歴の削除は法的に可能である

すでに誤認逮捕であることが確定している場合、逮捕歴などの情報をネットから削除することはできるのでしょうか。結論から述べますと、それは可能です。

最高裁判所が平成6年に2月8日に出した判例では、「前科などに関わる事実を公表されない法的利益」が認められています。最高裁判所の判例はそのまま法律運用の根拠となるため、もちろん今もこの判例は有効です。

法的根拠は「プライバシー権の侵害」

先ほどご紹介した最高裁判所の判例は、いわゆるプライバシー権を守るためのものです。

「前科などに関わる事実」とあるように、前科だけでなくその人のさまざまな個人情報やこれまでの経歴などをみだりに公開されない権利がある、というわけです。

重要なのは、この判例は有罪・無罪に関わらず守られる権利であり、誤認逮捕であるかどうかは問うていない点です。

誤認逮捕の場合は「名誉棄損」による削除が可能

誤認逮捕の場合、その事実をネットで公開したり拡散したりすることは名誉棄損にあたります。これはプライバシー権よりもさらに強い法的な利益なので、ネット上からの削除についても名誉棄損を根拠にすると削除の確実性が高くなります。

【参考】:逮捕歴(犯罪歴)・前科の記事を削除しないリスクを解説

逮捕歴が知られることによって考えられる影響

多くの方がすでにイメージされていることだと思いますが、逮捕歴がネットなどによって知られてしまうと、どんな影響が考えられるでしょうか。

誤認逮捕の場合、法的な不利益は一切ない

誤認逮捕であっても、逮捕された事実に変わりはありません。世の中は逮捕された事実には注目しても、その後がどうなったのかまで関心を持たない傾向があります。

つまり、逮捕された時点でその人は罪人であり、それが誤認逮捕だったのかどうかまで検証する人は少ないのです。

誤認逮捕であった場合は法的な不利益がないため、巷で言われているような「借金ができない」「海外旅行ができない」「免許を取得できない」といったこともありません。

社会的な影響

誤認逮捕であっても、逮捕された事実を知られてしまうことによって社会的な影響が考えられます。誤認逮捕された人が就職活動をして、応募した企業がネットでその人の名前で検索をした際に逮捕歴が出てきたら、採用をためらうかもしれません。

結婚、交際への影響

結婚やそれを前提とした男女の交際についても、同様のことが考えられます。結婚を控えている時に相手の親御さんが名前で検索をして逮捕歴が出てきたら、その結婚に反対する事態は大いに考えられますし、それは結婚を前提とした交際であっても同様でしょう。

この場合は恋愛感情があるので、誤認逮捕であることを証明すれば風評被害は解消するかもしれませんが、それも100%とは言えないでしょう。

生活環境への影響

逮捕の事実が近所で噂が広まってしまうことによって住みづらくなったり、子供が学校でいじめにあってしまうなど、生活環境への影響も考えられます。

こうした環境への悪影響を理由に引っ越しを余儀なくされるケースも少なくありません。たとえそれが誤認逮捕であっても、です。

誤認による逮捕歴の削除に応じてもらえない場合の対処法

こうした風評被害を防ぐ意味でも、誤認逮捕の場合は逮捕歴を削除しておく必要があります。最後に、ネットから逮捕歴を削除してもらうための要請方法と、削除に応じてもらえない場合の対処法について解説します。

検索エンジン、掲載サイトへの削除要請

検索エンジンに逮捕歴に関する情報が残っていると、関連の情報にアクセスしやすい状態が残ってしまうので、最初に検索エンジン大手であるGoogleへの削除要請をしておきましょう。

以下のページでコンテンツの削除要請を受け付けているので、状況に応じて削除要請をしてください。

【参考】:Googleの削除要請ページ

コンテンツがどんな状況にあるのかによって削除要請の方法が異なるので、上記ページの案内に従って要請をしてください。

仮処分申請

Googleはコンテンツの適正化に対して高い意識を持っているので、正当な理由があれば検索結果からの削除に応じてもらいやすい状況にあります。

しかし、個別のサイトや掲示板などそれぞれのコンテンツをすべてスムーズに削除してもらえるかというと、なかなか難しい場合があります。

削除申請をしても応答がない、削除に応じてもらえない場合は、プライバシー権ではなく名誉棄損を根拠に裁判所へ仮処分の申請をするのが有効です。仮処分の申請で重要なのは、その必要性です。

誤認逮捕であるにもかかわらず逮捕歴がネット上に存在し、それを誰もが閲覧可能になっていることで起きる不利益は、仮処分申請が求めている必要性を十分満たしていると考えられるので、認められる可能性は高いでしょう。

仮処分が認められたら、サイト運営者は応じる義務があるため、これによって確実に削除することが可能です。

削除専門業者への相談

先ほどまで解説してきた削除要請や仮処分の申請などは、いずれも自分で行うことはできるのですが、「難しそう」「果たして自分にできるのだろうか」と思われた方は多いのではないでしょうか。

そんな時には、専門家への相談をおすすめします。「餅は餅屋」という言葉があるように、ネット上にある不利益な情報の削除に関して相談できる業者があります。当サイト風評被害バスターズのような業者に逮捕歴の削除のサポートを相談してみるのは有効な方法です。

まとめ

あまり知られていませんが、誤認逮捕は推計で年間に200~300件ほど発生していると言われており、意外に多く発生しています。

誰もが無関係とはいえない数字なので、誤認逮捕をされてしまった時はその不利益がネットから拡散してしまわないよう、適切な対応で逮捕歴を削除し、風評被害から自分を守りましょう。